ソフトクリームの憂鬱
今担当している小説は、ゲラを読んだり打ち合わせをする度にカレーが食べたくなる本なので、その都度近くのカレー屋へいくわけです。
とはいえ、それほどのこだわりがあるわけでもない私は、比較的入りやすそうなカレー屋を選んでカレーを食べるのですが……あ、一応説明しますと、“比較的入りやすいカレー屋”というのは、「カレーについては一家言あります」という顔をした客が少ない店ってことです。一家言な人々に左右を挟まれたら素人は緊張してカレーどころではなくなりますからね。
で、その近所の比較的入りやすいカレー屋に行くのですが、このカレー屋、なぜかデザートにソフトクリームがつくのですよ。
………。
いや!いやいやいやいや。私はソフトクリームはホント大好きなんですよ。でもそのデザートのソフトクリームが本気のソフトクリーム(←?)で、かなり濃厚系なのです。
偽物ソフトクリーム(なんかパックからだして押し出すだけのやつ)は嫌だけど、濃厚すぎるソフトクリームもあんまり好きじゃなくてーーー。でもデザートはその濃厚ソフトクリームが山盛り。(←これじゃソフトクリームに一家言ある人みたいで恥ずかしいけど)
悩ましいのは、このデザートがあくまでオマケということで、メニューには一切記載がないことなのです。平日のランチタイムにだけ出てくるもののようですが、どこにも書いてない。なのに食事が終わる頃になると店主が「サービスのソフトクリームです〜」ってにこやかに濃厚ソフトを持って現れるのです。
お店側の「本格ソフトクリームをサービスで山盛り出しちゃうんです〜!」というパッションについていけず、気持ちとソフトが重すぎて居心地が悪いため、毎回デザートを準備されそうになる直前に高速で支度して店を出ています。
横目で私にソフトを出すタイミングを伺う店主の気配を伺う、というかなり馬鹿げたことを何度もやっているうちに、だんだん嫌になってきて「もう二度と行くまい」と心に決めた次第です。
あの店の人は、私がサービスのソフトクリームでこんなに悩んでいるとは知るまい。店に行かなくなる理由がソフトクリームにあるとは微塵も思わないだろう。
せめて一言、いるかどうか聞いてよ!!!そしたらソフトクリームはいりませんって伝えて、あのカレー屋にいくのになーーー。