『大学病院の奈落』とこっそり系『ナラタージュ』

“奈落”なんて、いやなタイトルですね〜。
三連休は主に医療系の本を読んでいましたよ私は。

『大学病院の奈落』『病院は東京から破綻する』で『代替医療の光と闇』は読み始めたばかり。

『大学病院の奈落』は群馬大学病院で起きた腹腔鏡手術の医療ミスを追ったノンフィクション。なんとなく読み始めたら、面白すぎて一気に読んでしまった……。

こういうのって、後から調べていくといくらでも防げるポイントって出てくるけど、実際内側にいると防げないことが多いのね。

『病院は東京から破綻する』も、ひたすら嘆きたくなる話。西日本に引っ越したい。

何コレ!?日本終わってるじゃん!!!
問題が大きすぎてどこから突っ込んで良いのか全然わからない。
問題が多すぎて改善する日が来るとも思えない。 

そう思って『代替医療の光と闇』読み始めたら、アメリカも終わってました。

 

そして上の『大学病院〜』と『医療は〜』の間にこっそり『ナラタージュ』が本当は入っているんですが、なぜ『ナラタージュ』!

私は恋愛小説と映画は基本苦手。とても苦手。
8割くらいの割合で(完全に偏見)どっちかが記憶喪失になったり、病気になったり、実は血が繋がってたりするから。あとは幽霊かな? 
でも有村架純だしな〜。映画観に行こうかなーーーー。

映画行くなら原作読みたいなーーー。

というわけで『ナラタージュ』を手に取ってみたってわけなのです。

なにしろ「この恋愛小説がスゴイ!」に選ばれてるらしいんで、私でも楽しめるんじゃないかしら〜と思って読みましたが、
どうしよういつまで経っても「スゴイ!」って思えないんだけど。

「あれ?」「あれ?」「いつスゴイ!ってなるのかな?」
と思っているうちに終わってしまった……。

もう若者じゃないから感動できないんだよ〜涙。 

いや、しかし、『ナラタージュ』はおそらく高校生から大学生くらいの時期なら、かなり楽しんで読めるのだと思いますよ。ホントに。

あのふわふわした、キラキラした感じは30代後半ではもうリアリティがないんですよ。残念ながら。
だからこれは小説は悪くない。
歳を取ってから読んだ私が悪かった……。

映画はう〜ん。WOWOWでいいかも。

『文盲』など

アゴタ・クリストフの自伝『文盲』。
短いので一瞬で読めるのだけれど、スーパー印象深い本。

自伝といっても多くを語るわけではないし(むしろ多くを語っているのは訳者あとがきかも)、時系列もざっくり。
でも読むことと書くことを求めて続けている著者の気持ちが、良く伝わってくる自伝だったな〜。

“この言語を、わたしは自分で選んだのではない。たまたま、運命により、成り行きにより、この言語がわたしに課せられたのだ”
これがグッときます。
なんとも中動態的。 

アゴタ・クリストフしっかり堪能できてよかった!

それ以外の読了本は『〈帰国子女〉という日本人』、『母さん、ごめん』の2冊。

帰国子女本は著者の堂々巡りが面白く、特にどうやって帰国後に日本社会の洗礼を受けて、それを克服(?)していったのかの詳細が妙に面白い。
しかしこういったカテゴライズされることによる苦労は他にもたくさんあるだろうな。中学、高校って一番同調圧力が強くて、自分の立ち位置に敏感な時期だからねーーー。絶対戻りたくないな。 

全然たいした話じゃないけど……
(当たり前か。アゴタ・クリストフとくらべれば私の話は全部ゴミですわ)
中学入学時に、その年の入学生からは自転車は何色でも良いとなったんで、張り切って緑の自転車で登校したら、周りから結構いじめられましたね。
みんな心狭すぎるでしょ。
緑の自転車ごときでコレなのだから、少数派の帰国子女の苦労はなかなかのものに違いない。

『母さん、ごめん』タイトルが情緒的だったので、どんだけ辛いことが起こるのだろうと身構えてしまった。 もう少しサラッとしたタイトルでも良いんじゃないのかしらね。

『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』

rebuildfmのNさんの発言に触発されて、やっと読んだアゴタ・クリストフ。とても良かった。

 悪童日記の淡々とした“ぼくら”の日記の描写には、感情表現が排除されているからかカミソリのような鋭さがあってトキトキ感が満載。読んでいるこちらも “ぼくら”と書かれていても、もはや二人の子どもという感じはしないので、最後に二人が別々になることに衝撃を受けてしまった。
がーん!
ホントに二人いたんだ……っていう感じ? 

ところが『ふたりの証拠』になると、名無しの僕らに名前が与えられており、一見普通の小説風に変貌している(でも描写はそのまま)ことに、また衝撃。  

そして『第三の嘘』までいくと、さらに衝撃。『悪童日記』と、この『第三の嘘』の世界は繋がっているようで繋がっていないということがピンとこなくて読み始めてすぐは何度も読み直してしまった。 

三部作とあるので、出てくる人物は同じ人物であるという思い込みのせいなんだけれど、完全に別の視点から描かれているので、そこに気がつくまで俯瞰して見られないんだろう。 

しかし久しぶりに面白い三部作だったな〜!映画も観るか!