ソフトクリームの憂鬱

今担当している小説は、ゲラを読んだり打ち合わせをする度にカレーが食べたくなる本なので、その都度近くのカレー屋へいくわけです。

とはいえ、それほどのこだわりがあるわけでもない私は、比較的入りやすそうなカレー屋を選んでカレーを食べるのですが……あ、一応説明しますと、“比較的入りやすいカレー屋”というのは、「カレーについては一家言あります」という顔をした客が少ない店ってことです。一家言な人々に左右を挟まれたら素人は緊張してカレーどころではなくなりますからね。 

で、その近所の比較的入りやすいカレー屋に行くのですが、このカレー屋、なぜかデザートにソフトクリームがつくのですよ。 
………。
いや!いやいやいやいや。私はソフトクリームはホント大好きなんですよ。でもそのデザートのソフトクリームが本気のソフトクリーム(←?)で、かなり濃厚系なのです。
偽物ソフトクリーム(なんかパックからだして押し出すだけのやつ)は嫌だけど、濃厚すぎるソフトクリームもあんまり好きじゃなくてーーー。でもデザートはその濃厚ソフトクリームが山盛り。(←これじゃソフトクリームに一家言ある人みたいで恥ずかしいけど) 

悩ましいのは、このデザートがあくまでオマケということで、メニューには一切記載がないことなのです。平日のランチタイムにだけ出てくるもののようですが、どこにも書いてない。なのに食事が終わる頃になると店主が「サービスのソフトクリームです〜」ってにこやかに濃厚ソフトを持って現れるのです。

お店側の「本格ソフトクリームをサービスで山盛り出しちゃうんです〜!」というパッションについていけず、気持ちとソフトが重すぎて居心地が悪いため、毎回デザートを準備されそうになる直前に高速で支度して店を出ています。 

横目で私にソフトを出すタイミングを伺う店主の気配を伺う、というかなり馬鹿げたことを何度もやっているうちに、だんだん嫌になってきて「もう二度と行くまい」と心に決めた次第です。 

あの店の人は、私がサービスのソフトクリームでこんなに悩んでいるとは知るまい。店に行かなくなる理由がソフトクリームにあるとは微塵も思わないだろう。
せめて一言、いるかどうか聞いてよ!!!そしたらソフトクリームはいりませんって伝えて、あのカレー屋にいくのになーーー。 

お礼

訃報を聞いて、遠いところから駆けつけてくれた人、手紙やメールをくれた人、花を持ってきてくれた人、パンやお菓子を送ってくれた人、何も言わずに普段通りに接してくれた人、色々な人が色々な形で私を気遣ってくれたことに支えられた三ヶ月でした。

みんなに1000回くらいありがとうと言いたいですが、あまり上手く伝えられません。

亡くなって二ヶ月近くは、毎日泣きながら仕事をしていました。紙を指定しては泣き、見本誌が届いては泣き、自転車に乗りながらも泣いていたので、きっとかなり怪しい人物だったと思います。

努めて普段通りにと思ってはいたけれど、今振り返ってみれば、やはりふわふわしたところを漂っていたようで、やっと現実世界へ降りてきた。そんな感じがしています。

社内での展示、ダズルでの偲ぶ会。どちらも忙しい中、企画してくれた人も足を運んでくれた人も多勢いてとても嬉しかったです。夫が生きてきた時間をきちんと肯定できる良い時間になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

私は順調に悲しみ、順調に回復しているので、たぶん大丈夫です。 

さっそく老後のプランを練り直し、そこそこ体に気をつけて、これからも人生を堪能する予定でいるので、変わらず私の無駄なおしゃべりにお付き合い頂ければ嬉しいです。

夕方に木村晴美さんの個展を見にqueue galleryへ。今までとちょっと違う明るい色合いの絵でステキでした〜。緑の絵を買うことに!届いたらどこに飾ろうかなー。わ〜い!
#queuegallery #木村晴美