『未来のだるまちゃんへ』

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かこさんはすごかった……。
すごいな〜。なんて面白いんだろう!と思いながら、長いこと絵本を読んできたけれど本人が直接語るのを読むのは初めて。
『未来のだるまちゃんへ』と現代思想のかこさとし特集。
こっちは拾い読みなんだけど。

子どもに関する本って山のように出ており、面白そうだとついつい読んでしまうんだけど、本当に感動したり感心させられたりする本って意外に少ない気がするなーと。こんなこと言ったら怒られそうだけど、書いてあることって似てるんですよ。 

「子どもって大人が思っているよりずっといろんな事を考えているんですよ」
「子どもってどろんこ遊びや水遊びが大好きなんですよ」

「石とかどんぐりとかも宝物なんですよ」
「お母さんが大好きなんですよ」
「汚い遊びも汚す遊びも子どもにとってはとっても大事」
「だから怒らないで下さいね」 

などなど。
似ているのに凄くグッとくる文章とそうでないのがあるのは、もしかすると著者の視線の高さなのかもしれないなと最近思うわけです。特に今まさに子育ての最中だとよりその差が気になるのかも。

かこさんの『未来の〜』は、保育者が書くのとは違った視点で書かれているけど、“現実の子ども”“生きている子ども”への徹底した観察があれだけのクオリティの作品につながるんだな〜としみじみ。
だって1冊作るのに30年かかってんだもの!!

一番良かったのはこれ。

“子どもの胸の内はせつなくて、悲しいものです。でも子どもっていうのは、親という一番身近な大人でさえ自分のことを適切に理解してくれないものだと知って、その葛藤の中で、いろんなことを受け止め、学びながら成長していくものだと思います”

至言!

『代替医療の光と闇』『あの日のように抱きしめて』

『代替医療の光と影』は面白かった!

こーゆーの好きだよ! 

“光と影”とあるように、まあ影の部分が大きすぎるんだけど、色々な事例でもって、悪徳代替医療推進者の悪行を挙げこちらをゲンナリさせてくれます。
この前日本が終わってる!と思ったけど、アメリカも十分終わってました。

でも著者も最後に書いているように、プラセボ効果の強力さはもう少し真剣に扱われてもいいような気がするな〜。 

子「転んで足から血がでてるんだよぉぉ」
母「まあ!なんて可愛そう!なんて可愛そう!」

子「そーなの可愛そうなの」

母「でも泣かなかったんだね。偉いね〜!」

子「そーなの偉いの」

母「痛いの痛いのお母さんが食べちゃうぞ!!!」

子「わあ!痛くなくなった〜!」 

と、いうのもプラセボの一種だそうで。 

しかし効果がないどころか、むしろ身体に害があるもの売りつけて高額な治療費をもらったり、ノーベル賞とってるような科学者が、代替医療の推進者になって変な物売ったりとか、もう奥が深すぎるな〜。

やってる本人も本当に信じてないと出来なさそうだなって素人の私は思ってしまうんだけど、そうでもないんだろうか。嘘だと分かってて人が死ぬまで怪しい知識で治療し続けることが出来るもんなのかな。

 
『あの日のように抱きしめて』はずいぶん前に松田さんにお勧めてしてもらったのに、観る機会を逃しまくっていたのでやっとこさ観ました。

旦那が最低系映画なんだけど、強制収容所から帰還した妻を、妻と気がつかずに(顔が変わっちゃっててね)、妻の財産を頂戴するために、妻に妻のふりをしてくれと頼む話です。
なんてシュール。 

セリフは最小限、登場人物も少ないけれど、描ききってる感のある映画でした。
収容所帰りの現実を垣間見れるのも良いな−。こういうのってあんまりないものね。 

最後にピアニストである夫と、声楽家の妻に扮している妻(ややこしい)が一緒に演奏するのだけど、そのシーンがとっても良かった。格好良かったな〜。しみじみ。

サンヤツ指定

新聞広告の仕事は結構好きでよく作るのですが、同じ広告でもサンヤツとなるとはなしは別です。
サンヤツの指定の仕事が来るのは1〜2年に1度程度。

おお、なんて少ないんだ……。

かつ私の記憶力は絶望的で、前回の指定なんて覚えていませんから、
「え〜と、どうやってやるんだったけ?」
と過去のデータをあさり、新聞の広告規定を確認しつつ進めることになるのです。 

そんな私がもっとも頼りにしていたのは、白水社のサンヤツ講座。
このサンヤツ講座の何に救われたかって、
“サンヤツの極意は「テキトー」にある”

この言葉ですよ!

ありがとう!ありがとう白水社の担当の人! 

もはやデータで入れてる広告の状態から考えると、信じられませんが。
手書きで、倍数で、明朝もゴシックも書体は選べないし、サイズもあんまり選べないし、意匠を施しちゃダメだし、そもそも平体かかってるから、1倍以上は指定紙のマス目と合わないし。

しかしそんなサンヤツなのに、やってて楽しくて仕方ないという不思議。 

せっせと指定しても、初校が出て、審査が通るまではどうなるか分からないし、通った後もその広告が他のサンヤツたちとどのように並べられるかはすべて新聞社次第。

このちょっと宙ぶらりん感が性に合っていて、なんだか良い気持ちなのです。

写真は指定紙と実際の新聞広告です。
しかもこの指定、実はA3で出力しているのでサイズ感が全然ちがいます。
おもしろいな〜。 

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