ポケットの兵器
自転車で本郷へむかう途中、
飯田橋の高速入り口がある交差点で
信号待ちをしていたときのことです。
向こうから黒いマカンがやってきて、
右折で高速へ入ろうとしてるんだけど、
なぜか入り口で一時停止して、
めちゃ日焼けしたお兄さんが私を呼んでいる。
う〜む……。
数多の道行く人や車から声をかけられてきたけれど(全部道案内か世間話)、
これは新しい……。
だってマカンと私の間には2車線分の距離があるのですよ。
なんでそんなに呼ぶんだよ〜。
とお兄さんを見たら、
車の下を指してるわけです。
どうやら横断歩道の上に誰かが何かを落としたらしい。
お兄さんは私の後ろで反対側の信号待ちをしているおじさんを指さしている!
(な〜る!この人の落とし物か!)
マカンの後ろのトラックはワケが分からないからクラクション鳴らしまくってるけど
お兄さんは私に落とし物を引き継ぐまで動くつもりがなさそうなので
手でOKとサインを出してみたら、笑顔で高速へ入っていきました。
……ので、今度は後ろのおじさんに
どうやらあなたは落とし物したらしいよと伝えたところ、
おじさんは赤信号なのに、とことこ歩いて行って何かをひろって背広へイン。
ポケットをポンポンたたきながら、笑顔で
「これは俺の兵器だからさ、助かったよ〜」と言って去って行きました。
なんか久しぶりに珍しいケースの声かけであった……。
おじさんの兵器ってなんだったんだろう?
財布じゃなさそうだから気になるな〜。聞けば良かった。